ブログ「坂本、脱藩中」のさかもとみきさんと毎月行っているコラボ書評。今回は宮藤官九郎さんとみうらじゅんさんの対談を取り上げます。
この本の概要と内容の紹介
宮藤官九郎とは
劇団大人計画に参加する脚本家、俳優。またバンドや映画監督など多方面に活動する。
最近ではNHKの朝の連続テレビ小説「あまちゃん」の脚本を手がけたことが記憶に新しい。
なお、個人的に好きなのは落語をテーマにした「タイガー&ドラゴン」だ。
大河ドラマの脚本を手がけることも決まり、いま日本を代表する脚本家と言えるだろう。
みうらじゅんとは
本の帯には漫画家としてデビューして多方面に活動の幅を広げていると書かれている。
マイブーム、ゆるキャラ、いやげもの、見仏記などの数々のムーブメントの発信地になり、日本のサブカル界の代表的人物と言えるだろう。
この本はこの2人が時に下ネタを、下世話に、かと思うといきなりまじめにさまざまな問題について語り合った「哲学問答集」である。
宮藤官九郎とみうらじゅんが語る内容とは?
全然違う話をしているにも関わらず、最終的に下の話になってしまうのはご愛嬌だ。
男子高校生が部室で、帰宅途中のコンビニでダラダラとダベっているのをイメージしてもらえるとわかりやすいだろう。
しかし、そこは日本を代表する2人のクリエイターの問答集。
一筋縄にはいかない魅力が満載なのだ。下ネタのあとに急に深いことを言ってくるので心の準備が必要になってくるかもしれない。
下ネタ上等。本の概要には永遠の中2たちが真正面から挑むとある。
ヤンキーへの憧れと恐れなど、文系の男子がこんなことを考えているということがわかるおすすめの一冊だ。
この対談を読んでいただき、少しでもみなさんの
モヤモヤが解消されますように。そして、考えても始まらないことが世の中にはあるってことを知ってもらえますように。
みうらじゅん

人はどうしてキスをしたくなるのだろうか?
この本の第1部は「“男と女”のわからない。」から。
冒頭は「どうして人はキスをしたくなるのだろう?」という疑問から始まる。
お互いの最初のキスの思い出から最初のキスの重みまで。
男子生徒の部室トークが繰り広げられる。かと言って上等な話をしているわけでもないけど笑。
個人的には高校生のころは全くモテなかったこともあり、ここで語られている恋愛のことについてはよく理解できる。
宮藤さんもみうらさんも20代で結婚しているが、みうらさんが「結婚すれば好きな人と毎日一緒に居られるんだよ」って言っていたのはなんか面白かったですね。
わたしは結婚していませんし、その兆候もありません。いまのところ。
文中で結婚がカジュアルになってきたと書かれていますが、その傾向はたしかに感じます。
みうらさんは結婚は自分なくしの絶好のチャンスだと発言していて、なるほど!と膝を打った次第。

“人生”のわからない
この第2部で取り上げられているのは、ずばり人生。
なぜ、スーツを着なければいけないのか、偉い大人ってどんな大人だろう、童貞を喪失するとなにが変わってしまうのだろうといったことについて話し合われています。
しかし、好きあらば下ネタという基本姿勢は変わらず。
個人的にはヤンキーはジョージルーカスの着ているようなチェックシャツは着ないというところがツボでした。
たしかにジョージルーカスってチェックのシャツよく着ているよなと思わず笑ってしまった。
私は学生時代、ヤンキーとはほど遠い世界に住んでいたのでこの第2部で語られているようなエピソードは新鮮でした。
アメリカの青春映画にはよくありますが、スクールカーストみたにのがあってそれぞれ住んでいるカテゴリーが全然違って交わることがないんですよね。
日本にも多少なりともこういう面があって、いわゆるオタク層だとスポーツのキャプテンとかをしている層とは趣味嗜好が全然違うんですよね。
そういう観点で読むと、ヤンキーは礼儀を大切にする、ホントは真面目、なんていう部分がより面白く理解できるのではないかと感じました。
“仕事と遊び”のわからない
今の 日本て精神的に不景気な感じがするんだよね。心が貧乏くさいというかさ。なんか、どんどん価値観がせばまってく感じがするじゃん?そこを心配するべきなんじゃなにのかな?
この章を読んでいて気になったのはこの部分。
近々自分のブログにも書こうと思っていますが、日本からどんどん寛容さが失われていっている気がします。
不祥事があって炎上するのは、理解できなくもないですが、ささいなことで批判が殺到して記事などを削除に追い込まれるということもあります。
そんな時は本当にこの本を読めばいいと思いますね。
いい意味で人間は変わらない。
政治家が議員宿舎でなにやっているのかとか笑。そういう観点を持っているのかと気づかされることがたくさんあります。
ずっと考えているのは、仕事はまじめにやらなければいけないという観念を壊してしまって、仕事を遊びのように楽しくやってもいいんじゃないかということ。
居酒屋でだらだらと下ネタを話すくらいがちょうどいいのかもしれません。

まとめ
今回の課題本はあっという間に読むことができました。
なにしろ2人の語り口が軽妙で笑いながら、読んでいるうちにいろいろ考えたらり、笑ったり。
なんだか真面目で堅苦しい方向に世の中が変わって来ているような気がしますが、肩ひじはらずにこの本を読めばいいと思いますよ。
普段おぼろげに感じていながら言語化できていなかった感情が言葉になっているので下ネタ抜きにしても読むべきですね
。
どうして人はキスをしたくなるんだろう?
さかもとさんの書評
さかもとみきさんの書評はこちら。
オトコトオンナノホンノ読ミ方。ぜひ、さかもとさんの書評をお楽しみください。
愛してるの意味って?男子校勢の純粋な猥談「どうして人はキスをしたくなるんだろう?」みうらじゅん・宮藤官九郎