毎月連載のコラボ書評。
今回のテーマ本は新川帆立さんの『元彼の遺言状』です。
毎月連載のコラボ書評
このブログでは、ブログ「坂本、脱藩中。」のさかもとみきさんと毎月コラボしている書評を書いています。
前回のコラボ書評は佐藤究さんの『テスカトリポカ』でした。
【コラボ書評】闇の世界を描く重厚な物語:佐藤究『テスカトリポカ』 – つぶログ書店
テスカトリポカ:佐藤究が2021年で多分個人的に一番ヤバかった本になる | 坂本、脱藩中。
コラボ書評とは2人のブロガーが同じ本を読み、感想をお互いに書くという内容です。
ぼくはさかもとさんにいろいろ相談をしたり、Twitterで交流をしていました。話の流れで「コラボしたいね」という流れになり、お互いに本好きということもあり書評を書きあうというスタイルになりました。
面白いのは同じ本を読み合っていても、人によってこうも感想が違うのかという点がわかる点です。
特にこのコラボ書評は、男女で本の捉え方が違う点も面白い点だと思います。
- 過去のコラボ書評はこちらから。
毎月連載のコラボ書評まとめ【つぶあんとさかもとみきさんの書評】 | つぶログ書店

今回のテーマ本は佐藤究著『テスカトリポカ』
今回のテーマ本は新川帆立さんの『元彼の遺言状』です。
今回は私、つぶあんが本を選びました。
こちらが『元彼の遺言状』のあらすじです。
本年度の第19回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作は、金に目がない凄腕女性弁護士が活躍する、遺産相続ミステリー!
「僕の全財産は、僕を殺した犯人に譲る」という奇妙な遺言状を残して、大手製薬会社の御曹司・森川栄治が亡くなった。学生時代に彼と3か月だけ交際していた弁護士の剣持麗子は、犯人候補に名乗り出た栄治の友人の代理人として、森川家の主催する「犯人選考会」に参加することとなった。数百億円とも言われる財産の分け前を獲得するべく、麗子は自らの依頼人を犯人に仕立て上げようと奔走する。一方、麗子は元カノの一人としても軽井沢の屋敷を譲り受けることになっていた。ところが、避暑地を訪れて手続きを行なったその晩、くだんの遺書が保管されていた金庫が盗まれ、栄治の顧問弁護士であった町弁が何者かによって殺害されてしまう――。
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この本を読んで感じたこと
自分を殺した犯人に莫大な遺産を与えるという設定が面白い。
この本を読んで感じたのはミステリーとしての面白さはもちろん、面白い本を読むという楽しさです。
この本にはミステリーとしての面白さも、ドラマも、葛藤も描かれています。
ただ重苦しくない。
最近はミステリーといっても社会問題とか人間の本質に迫らないといけないのか、やたらと重たいものが多い。
それでいけないということはまったくない。
でも、シンプルに面白いミステリーを読みたい!という時になかなかマッチするものがないというのを個人的には感じているのです。
この本はその不満を解消してくれていると読み終わって感じました。
売れているのもわかるな、と。
楽しんで読める良作!
主人公の剣持麗子はやり手の弁護士で、死亡した栄治の遺産をもらう資格のある“犯人”の代理人になります。
剣持は金がすべて、というタイプの弁護士です。
お金よりも大切なものはあるか、というテーマがミステリーとしての謎に良い味付けをしているのが上手いです。
著者の新川さんは読者としては純文学も読むそうですが、書く側として「わかりやすいものを」ということでエンタメ路線のミステリーを書いたとのこと。
キャラクターを立てる、全体的に派手に華やかにする、ミステリーとして大きな謎を用意する、読者が読んだことのないような新しい要素を入れる、現代的なテーマなど新しい要素を入れる、その5つくらいが必要だなと思いました。
新川帆立さん『元彼の遺言状』 | 小説丸
新川さん自身弁護士で、このミス大賞を受賞したことを受けて本作をシリーズ化する構想とのこと。楽しみです!
この本をすすめられる人
この本をすすめられる人はとにかく面白い本、ミステリーが読みたい!という人ですね。
重厚な社会派という感じではありません。
まとめ
主人公の剣持麗子のキャラクターが立っているので、ドラマ化など映像にするのに合っている作品ではないでしょうか。
表紙のイラストが作中の剣持麗子とピッタリでした。
おすすめです!
毎月連載のコラボ書評まとめ【つぶあんとさかもとみきさんの書評】 | つぶログ書店
さかもとさんの書評
さかもとさんはこの本をどう読んだのでしょう。
さかもとさんの書評はこちらから。
元彼の遺言状(新川帆立)のネタバレ感想!元彼から遺産をもらえたら嬉しい? | 坂本、脱藩中。