山田康弘著『戦国時代の足利将軍』という本を読みました。
室町幕府の将軍とは?
新書『応仁の乱』のヒットから室町時代についての本の出版が増えてきました。
室町幕府の将軍というと3代義満は権力があったとは知っていても、戦国期には形だけのものになっていた、という認識をこれまでは持っていました。
しかし、織田信長が足利義昭をともなって上洛して以後も限定的とはいえ、将軍の権威はまだ通用しているという
というわけで前から室町時代の将軍ってどういう存在なんだろう?という疑問を持っていました。
最近図書館に行ったところ、たまたまその疑問に答えてくれそうな本を見つけて借りてきました。

それが吉川弘文館から出版された『戦国時代の足利将軍』です。
結構脆弱な室町幕府の将軍の基盤
幕府の将軍というと、どうしても江戸時代のイメージで捉えてしまうので、室町時代も同じような権力や規模を持っていたと考えがちです。
しかし、江戸幕府の将軍が400万石以上の直轄領を持ち、旗本を抱え数万の兵力を単独で編成できるのに比べ、室町将軍の兵力は1000から2000程度とのこと(!)
いかにも少なすぎる感じがありますが、室町初期は将軍の命令で大名が兵を出し、謀反や京都での警察機能を果たしていたようです。
大名は各国を支配する根拠が将軍から守護への任命に頼っていたため、将軍からの命令を聞く構造になっていました。
しかし、各地で大名が自立するようになると
でも、将軍は大名にとって無視できない存在ではあり続けたようです。
それはさまざまな栄典を得る推挙先として、紛争の調停役として、京都周辺では裁判の主体になるなどもありました。
まとめ
室町幕府の将軍ってこれまでいまいちわかりにくいな、と思っていました。
戦国大名でも国人領主の盟主のような大名がいましたが、そういうイメージで大名連合の盟主と捉えるとわかりやすいのかもしれません。
最近の室町ブームにおける基礎知識を得るにもおすすめの本です。
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