オリジナルマスターテープの音を楽しむためには?

音楽

音楽を聴くとき、できればいい音で聴きたいですよね。

ひとつの基準になるのが、オリジナルのマスターテープ。

この音を楽しむにはどうしたらいいのでしょうか。

マスターテープってどんな音だろう?

音楽好きにとって気になることといえば、やっぱり音質。

オーディオマニアでなくてもできれば、いい音質で聴きたいもの。

普通CDやレコードにする場合、マスターテープというものがあります。

ボーカルや楽器などを録音し、最終的にミックスダウンして最終的な作品の形にまとめたものです。

デジタル時代の現代の事情は分からないのですが、ぼくが好きなロック黄金期には当然テープを使っていました。

基本的にはこのマスターテープに収められた以上の音は理論的にもないわけです。

ファンとしては叶わぬ願いと分かっていても、マスターテープの音を聴いてみたいですよね。

マスターテープの劣化?

気になるのはマスターテープの劣化。

60年代のレコーディングからすでに60年、70年代からでも50年を迎えつつあります。

映画のフィルムは60年代のものより、70年代のものの方が劣化が激しいのだとか。

古いアナログテープはかなり繊細で、特に70年代後半から80年代前半のテープはあまり質が良くないから脆いんだよ。60年代のテープは丈夫でそれほど劣化していないけど、70年代と80年代のテープは非常に劣化しやすい。エンジニアが語る、ローリング・ストーンズの巨大アナログ盤ボックスセット完成の内幕 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)

それは70年代に入るとプロ用のフィルム、テープでも大量生産的な感じになり、また素材が変わったからではないかと推察しています。

プロでもオリジナルマスターには触れられない

去年(2018年)ローリング・ストーンズのアナログボックスセットがリリースされた際、マスタリングを担当したアビーロードスタジオのエンジニア、マイルズ・ショウェルにもオリジナルのマスターテープは貸し出されなかったそうです。

オリジナルのマスターテープは1本もなかったよ。バンドのマネージメントが2〜3年前に音源をすべてデジタルでアーカイブしたから、彼らからハードドライヴを借りた。彼らは「これを24時間だけ貸し出すから、必要なものを全部ダウンロードしてから返してくれ」と言ってきた。エンジニアが語る、ローリング・ストーンズの巨大アナログ盤ボックスセット完成の内幕 | Rolling Stone Japan(ローリングストーン ジャパン)

ビジネスとしてリリースする作品のマスタリングを担当するエンジニアにもオリジナルのアナログマスターテープを貸し出さないとしたら、今後マネジメント側が保存目的以外でマスターテープに触れるということはなくなるかもしれません。

考えてみればテープという仕組み上、再生するダビングするという過程自体がテープ本体にダメージを与えそうです。

ビートルズがアルバム「LOVE」リリースの際、マスコミ向けに新しい録音の素晴らしいさを示すために古いマスターを記者向けにかけたところ、「古い録音をよくここまでリマスターできましたね!」と驚かれたという話があります。

(もともとビートルズは当時のバンドとしてはレコーディングにこだわり、レコードの音がいいことでも知られていた)

オリジナルのアナログが重宝されるわけ

音楽ファンの間でレコードのファーストプレスが重要視されるのも、それがオリジナルマスターから一番近く、鮮度が高いという理由からです。

最初のマスタリング時にはアーティスト自身が立ち会うこともあり、「アーティスト自身が認めた音」というニュアンスもあります。

これから70〜80年代のアルバムが何周年という節目を迎えていきますが、レコード会社やマネジメントサイドは今まさにデジタル化や修復の作業中かも知れません。

1994年リマスターと2009年リマスターとの明暗を分けた要素として、オリジナルのマスター・テープの鮮度(あるいは、別の表現を使うと、マスター・テープの音質劣化)の問題があるのですが、この点でも、オリジナル・リリースからより年月の経過している2009年のリマスターは不利ということになります。ローリング・ストーンズの2009年リマスターが失敗した理由|ツナギトレードコンサルティング|note

音楽の場合、どの盤か、誰が担当したかによっても音が変わってくるのが面白いところ。

何度も話が出ているオリジナルのファーストプレスは一般に高額ですが、1000円以下のCD、レコードでも音がいいものがあるのでいろいろ楽しめます。

まとめ

オーディオマニアにとってひとつの理想は“スタジオで鳴っていた音”の再現だそうです。

ぼくはそこまでのマニアでもなく、機器も持っていませんが、自分ができる範囲でいい音で聴きたいと思っています。

アナログでオリジナルプレスに近いものは貴重ですが、普通に手に入る中古でも同時代に存在していたという“想い”みたいなものを感じますね。

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