織豊期主要人物居所集成 by 藤井讓治

彦根城 書評

ぼくは歴史好きでよく本を読んでいます。なかでも戦国時代は最も心躍る時代です。最近は豊臣政権について興味を持って調べたりもしています。そんな中ある本と出会い歴史好きがさらに加速しています。それが『織豊期主要人物居所集成』です。この本歴史好きにはたまらない1冊です。

居所ってなに?

居所は(いどころ)と読みます。

この本は織豊期主要人物についていつどこにいたか、どう行動したかを資料をもとに明らかにしたものです。

どうやって明らかにしたかというと手紙や日記などの記述からその人物がどこにいたかを調べたのです。

たとえば、織田信長でいうと京に上洛すると公家などが出迎えに行きますので、記録が残るわけです。

こうした記述を一つ一つ拾っていって全体像を明らかにしようという試みです。

織豊期の主要人物とは

・政権の中心人物(織田信長、豊臣秀吉、など)

・政権の中枢にいる人物(明智光秀、浅野長政、石田三成など)

・政権に大きな影響力を持った人物(徳川家康など)

・有力大名(上杉景勝、毛利輝元)

・有力武将(加藤清正、福島正則)

・政権に関わる公家衆

・女性たち

が挙げられる。

本書で取り上げられているのは25名です。

具体的な記述は?

ではどんな風に記述されているかちょっと引用してみましょう。

徳川家康の1601年(慶長6年)の年頭の行動です。

大坂で越年した家康は年末より体調を崩していたが(『義演』慶長5年12月28日条)、15日には諸大名より年頭の礼を請け、

1月2日大坂在(『言経』)。14日大坂在(『言経』)。15日大坂在(『言経』「内府へ罷越、一万石ヨリウヘヘ地行トリノ武士衆、太刀折紙ニテ御礼二有之、則対面有之」。)

このような感じてまずその年の概要が記述してあり、その後にそれを裏付ける詳細が書いてあるという感じで構成されています。

ものすごく地味ですね。

でもこの地味さがたまらないのです。歴史上の出来事はどうしても想像上の出来事感があって現実とは認識しにくい面がありますが、この本を読むことで現実の出来事と認識することができます。

この本の楽しみ方は

以前歴史が動くポイントはいつも細部だという記事を書きました。

歴史の面白さは細部にあるという記事ですが、この本ではそれを存分に味わうことができます。

歴史上の出来事もいきなりその事件などが起きたのではなく、勢力争いや動きがあって成り立っているとわかります。

たとえば、徳川家康にとって1600年以降というと関ヶ原の合戦から大坂の陣に至る期間で江戸幕府草創期の大変重要な時期です。

家康というと江戸や駿府というイメージがありますが、この時期結構伏見にいる時期が長い。

伏見幕府という研究者もいるくらい伏見に滞在しているわけです。

なぜ伏見かというとおそらく伏見が当時の首都的立場の都市だったからではないかと。

この点は伏見を取り上げたブラタモリでもスポットが当たっていました。

ブラタモリでも注目!京都・伏見に行ってみたい!

こうした歴史上の事件の背景を深読みしていく手助けとして活用するのが楽しいと思います。

この本は本来は研究用というか、辞書的な使い方を想定しているのではないかと思いますが、そういった楽しみ方もできます。

個人的には現代の首相動静のような感じで、織田信長はこういう風に行動していたのか!とかこの人と会っていたのかという楽しみ方もできると思います。

まとめ

この本とてもいい本ですが、現在Amazonでは取り扱っていません。

一応リンクを下に貼っておきますが、読みたい方はお近くの図書館で聞いてみてください。

歴史上の人物の行動にここまで迫れる本もなかなかないのではないかと思うくらい楽しめる1冊です。

織豊期主要人物ということで、たとえば今話題の真田一族は残念ながら載っていません。

しかし、歴史好きには間違いなくおすすめできますし、そうでない方も図書館でパラパラとめくってみてください。

新たな発見があるかもしれません。

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