中世とはどんな時代か:呉座勇一著『日本中世への招待』

Invitation to the Middle Ages of Japan goza 書評

日本中世史研究者呉座勇一さんの『日本中世への招待』を紹介します。

中世を知るための1冊

今回は呉座勇一さんの『日本中世への招待』を紹介します。

『応仁の乱』『陰謀の日本中世史』のヒットでも知られる日本中世史の研究者、呉座勇一氏の著書です。

中世というと、戦国時代に代表されるような武士の時代というイメージで、注目もそこに集まります。

でも、いくら戦争が多かったとはいえ当時の人にも現代と同じように日々の生活があったはずなんですね。

これまで一般読者向けの中世の人がどのよう生き、考え、生活していたかについて書かれた本はなかったとのこと。

そして、また政治史や人気のある人物以外の研究成果も一般の読者には届きにくい。

そこで、書かれたのが本書というわけです。

無ければ、自分で書けば良い。こうして生まれたのが本書である。本書が『日本中世史への招待』ではなく『日本中世への招待』と名乗っているのは、政治史中心の、良くある中世史入門ではないからだ。

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中世の人はどのように生きていたのか

たとえば、中世の人は誕生日を祝っていたのか、どんな贈り物をしていたのか、お正月は?

そしてどんな風に子どもなどを教育していたのか。

そもそも結婚や出産はどうだったのか。

そんな疑問に豊富な知識を元に答えてくれます。

鎌倉武士が財産を譲る自筆の譲状を書くときに、漢字をよく知らないのでひらがなばかりになったりするのは、なんだか微笑ましいです。

面白かったのは、第二部の「交流の歴史学」で、中世の寺社めぐり、宴会、お誕生日会など中世の人たちがどのように日々生きていたかについてまとめられている部分です。

現代でも同じだと思いますが、同時代の人にとって当たり前と思われるようなことはわざわざ書き残したり、記録を取ったりしないので“歴史”として残りにくいんですよね。

朝鮮王朝から室町将軍の元に差遣された使節の人が書き残した記録が本の中で紹介されています。

すべてをそのまま事実というわけにはいきませんが、当時の日本を知る貴重な資料となるわけです。

現代とまったく違うようでいて似ている

以前に書評を書いた『喧嘩両成敗の誕生』を読んで感じたことがあります。

それは中世の人々は現代日本人とはまるで別の国の人のようということです。

かなり喧嘩早かったり、ちょっとしたいざこざが所属する組織同士の抗争につながったり。

と思えば、集団の和を重んじたり、この本でいうと接待があったり飲み会が大好きだったり、共通する項目がたくさんあります。

こういう部分が歴史の不思議さであり、面白さであると思いますね。

まとめ

中世では最近人気のある南北朝時代、そして、織田信長など戦国武将に根強い人気があります。

この本を読めば、中世の人がどんな習慣で、生活を送っていたかを知ることができます。

巻末には中世を知るためのブックガイドもあります。

中世に興味がある人にぜひ読んでもらいたい1冊です。

歴史学の手法を学ぼう!『陰謀の日本中世史』【呉座勇一】 | つぶログ書店

将軍たちの苦労を学べる!『足利将軍15代』 | つぶログ書店

今回紹介した本

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