毎月連載のコラボ書評。
今回のテーマ本はジョン・グリシャムの『グレート・ギャッツビーを追え!』です。
毎月連載のコラボ書評
このブログでは、ブログ「坂本、脱藩中。」のさかもとみきさんと毎月コラボしている書評を書いています。
前回のコラボ書評は早瀬耕の『未必のマクベス』でした。
【コラボ書評】王として旅する物語:早瀬耕『未必のマクベス』 | つぶログ書店
嫉妬しないって、普通じゃないのか…「未必のマクベス」早瀬耕 | 坂本、脱藩中。
コラボ書評とは2人のブロガーが同じ本を読み、感想をお互いに書くという内容です。
ぼくはさかもとさんにいろいろ相談をしたり、Twitterで交流をしていました。話の流れで「コラボしたいね」という流れになり、お互いに本好きということもあり書評を書きあうというスタイルになりました。
面白いのは同じ本を読み合っていても、人によってこうも感想が違うのかという点がわかる点です。
特にこのコラボ書評は、男女で本の捉え方が違う点も面白い点だと思います。
- 過去のコラボ書評はこちらから。
毎月連載のコラボ書評まとめ【つぶあんとさかもとみきさんの書評】 |

今回のテーマ本は『「グレート・ギャツビー」を追え』

今回のテーマ本は早瀬耕さんの『「グレート・ギャツビー」を追え』です。翻訳は村上春樹さんです。
今回はさかもとさんが本を選んでくれました。
こちらが『「グレート・ギャツビー」を追え』のあらすじ。
強奪されたのは、フィッツジェラルドの直筆原稿。その行方を知る者は? 消えた長編小説5作の保険金総額は2500万ドル。捜査線上には独立系書店を営む名物店主が浮かぶが……。全米ベストセラーの快作文芸ミステリー。
「グレート・ギャツビー」を追え|単行本|中央公論新社
村上春樹さんはこのコラボ書評で2回目の登場。
1回目は村上さんの著作でしたが、今回は翻訳です。
村上春樹といえば、自身の作家活動のほかに翻訳もしていて、レイモンド・チャンドラーなど有名な作品も手がけています。
でも、グリシャムとは!
というのがこの本を読むことになった時の最初の感想です。
グリシャムの作品はちょっとしか読んたことがありませんが、村上春樹さんか訳すようなイメージがなかったからです。
この本を読んで感じたこと
本作の冒頭は強盗団によってフィッツジェラルドの直筆原稿が大学図書館から盗まれる、というなかなか渋いテーマです。
そして物語上にフロリダの有名な独立系書店主、ブルースが浮上するという展開。
この本のテーマとなる直筆原稿や美術品はおいそれと売ってしまうとそこから足がついてしまいます。
ここが物語の焦点になってきます。
メインとなる舞台はブルースが店を構えるカミノ・アイランドというリゾート地みたいな場所です。
ここに長編小説をなかなか完成させられない女性作家マーサーが移ってくることになります。
このあたりの経緯もちょっとスパイ小説っぽくてなかなかいい。
機構本のマーケットや書店事情などを盛り込みつつ、フロリダの風景や楽しいパーティー、ちょっとした恋愛模様?などを盛り込み、過不足なくエンタメに仕上がっています。
でも、読んでみるとアメリカの読書文化、作家がサイン会のツアーをしたりすることなどが知ることができて楽しかったです。
日本でもサイン会とかはもちろんあるんですが、やっぱり国によって事情が違うんですね。
本が好きな人はそういう所も面白く読めるかも。
この作品はなぜか映像が浮かんできました。
書店、文学、作家界隈の深い話を描きつつ、どこかライトなテイストもあるのでサクッと読むのには最適だし、今だとNetflixとかAmazonオリジナルで映像化してくれたら楽しそう。
フィッツジェラルドなど有名な作家の名前もたくさん出てくるので海外文学好きにはたまらないでしょうね。
一度でいいから本作に登場するような場所にじっくり滞在して何をするでもなく、それこそ本を読んで過ごせたら最高だと思います。
ちなみに本作、日本版タイトルはこれまで書いたように『「グレート・ギャッツビー」を追え』ですか、原タイトルは「Camino Island」とシンプル。
日本ではフィッツジェラルドといえば村上さんが好きということで『グレート・ギャツビー』が有名なためタイトルを変えたのかもしれません。
まとめ
こういう作品が日本を舞台に描かれるとしたら、直筆原稿が盗まれるのは誰になるんでしょう?
夏目漱石か、太宰治、三島由紀夫?寡作の作家のほうがいいのか?
そういうことを考えるのも楽しいですね。
年末年始の帰省はコロナで難しいという人も多いと思いますが、ポッと空いた時間にこの本を読むと楽しく過ごせること間違いなし。
楽しい本でした。
さかもとさんの書評
さかもとさんはこの本をどう読んだのでしょう。
さかもとさんの書評はこちらから。
設定・関係性全てが読書好きにはたまらない!「グレート・ギャッツビーを追え」ジョン・グリシャム | 坂本、脱藩中。