歴史はスターシステムではない。地味だから価値がないというわけではない。

将軍:歴史はスターシステムではない 考えたこと

歴史をもとに町おこしをしようという動きがあります。昔からありましたが、ここ十数年くらいから盛んになってきた印象です。易きに流れるのではなく、歴史の価値を高めるような方法を選んでほしいものです。

歴史はスターシステムではない。

日本史について知りたいことがあってWikipediaを見ることがあります。

本当は研究所とか、地方史とかにきちんとあたればいいのだけれど取っ掛かりとしてWikipediaを見ることがあります。

概要はこういう感じで、こういう経歴か、というのを確認して外部リンクの欄を見るとその人物が出身した市などの公式サイトがリンクされています。

なにか参考になる情報があるかと思ってみてみると、がっかりすることがあります。

もちろんほとんどがきちんとしたものですが、一部事実に基づかいない事項を書いてあったり、推測であり複数の説が立っていることをさも事実であるかのように書いてあります。

著名な人物、たとえば織田信長、坂本龍馬などのゆかりの地であれば観光や広報に有利なことは理解できます。

しかし、そのために少々荒っぽくても牽強付会で自分の市に絡めればいいのでしょうか。

人気のある人物と無名な人物がいるのは当然のことです。

しかし、その知名度と歴史的な評価はまた別の話です。

たしかに戦国時代で徳川家康以上に重要な人物というのは存在しないかもしれません。

ただ、家康の功績の裏には実務を担当していた人物がいるわけで、そういう人物にきちんとスポットライトが当たるようになればいいと思っています。

歴史はスターシステムではない

Photo credit: Glenn Waters ぐれんin Japan. on VisualHunt.com / CC BY

大河ドラマだけが歴史ではない。

ぼくは歴史が好きで、旅行に行くと城を見に行きます。史跡を巡ることもあります。

ここ最近気づいたのはどこに行っても大河ドラマの誘致をしているなということ。

福山市にも福山藩初代藩主水野勝成を大河ドラマに、という団体がありますし、近隣では北条早雲の出身地とされる井原市で北条五代を大河ドラマに、という活動をしています。

2020年の大河ドラマは明智光秀がテーマですが、京都の山崎にいったときは明智光秀や細川幽斎、細川忠興を大河ドラマにという署名活動をしていました。

歴史好きなら新しい大河ドラマの始まる時期になると書店に関連本があふれることを知っているでしょう。

自治体が歴史を使って地域を盛り上げようというときかならず出てくるのが「大河ドラマの誘致」。

たしかに「観光史学」という点からいうと日本において大河ドラマにまさる手法はないでしょう。

ほぼ一年間に渡ってNHKで自分たちの住んでいる地域が取り上げられる。

このことの影響力の大きさはわかります。しかし、あえてドラマは大河ドラマだけではない、といいたいのです。

NetflixやAmazonオリジナルでドラマを作ってもらえるよう交渉するのはどうでしょうか。

おそらくその手法を取る自治体は出てこないでしょう。

ドラマを見て観光地を訪れる人は比較的年齢層が高いということことも関係あるかもしれません。

せっかく歴史という最高に面白い「ドラマ」を題材にしているのに、大河ドラマに満足してそのほかの成果がおざなりになるのはいただけません。

まとめ

歴史を使って地域をアピールするときに、名もな庶民をもとにしても遠方からの観光客が見込めないのも理解できます。

ただ、大河ドラマになればいい、事実はともかく観光客が呼べればいいというのはいただけません。

このあたりは、非常に難しいさじ加減が求められます。深い見識と研究が必要なるでしょう。

その過程を無視して、成果だけえようというのは個人的にはあまり好きではありません。

おそらくこの流れというのは止まることはないでしょう。自治体の予算が減る中で起爆剤になるような方法は限られているからです。

地味だから価値がないわけではありません。

この価値が見直されるようにと願っています。

Photo credit: Jim Epler on Visual Hunt / CC BY

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