毎月更新しているコラボ書評です。今回は酒井順子さんの『男尊女子』を取り上げます。
オトコとオンナのホンノ読ミ方
この記事は、ブログ「坂本、脱藩中」のさかもとみきさんと同じ本を読み合って感想を書くコラボ書評です。
今回の本は酒井順子さんの男尊女子です。
前回の書評はこちらから
【コラボ書評】人はどうしてキスをしたくなるのだろう。宮藤官九郎とみうらじゅんが9割不真面目に答える笑える哲学書? | つぶログ
さかもとさんの前回の書評
愛してるの意味って?男子校勢の純粋な猥談「どうして人はキスをしたくなるんだろう?」みうらじゅん・宮藤官九郎 | 坂本、脱藩中。
男尊女子とは
男尊女卑という言葉を聞いたことはあると思います。
では、男尊女子とは?
男尊女子(だんそん・じょし):女性は男性よりも下であるという気持ちを、意識的にであれ無意識的にであれ持っている女性のこと。
「男尊女子」って? エッセイスト酒井順子さんと語る、心の中にある”小さな女子マネ”の精神
男尊女卑は辞書に入っているくらい、いい意味でも悪い意味でも一般的な言葉です。
男尊女子はそこから酒井順子さんが発想した造語なんですね。
男尊女卑とか女性差別といったことは、あからさまには目に見えづらくなってきていますよね。でも「消えた」わけではない。水面下に「隠れた」だけなんだと思います。無意識にはそう思っている女性を「男尊女子」と名付けてみました。
「男尊女子」って? エッセイスト酒井順子さんと語る、心の中にある”小さな女子マネ”の精神
思えば男女って書きますが、これって男が前に書いてあります。女男でもいいのではないか。
そんなことを考えながらこの本を読み進めました。
男は5歳児?
この本をテーマに選んだのは私ですが、本を読み進めるうちにある記事が頭に浮かんできました。
思い出したのがこの記事。
「男はみんな5歳児である」と思って生きれば、多くの問題は解決する | DRESS [ドレス]
少し前にネットで話題になった記事です。賛否両論巻き起こした記事ですが、男性側からもこの記事を支持する声がありました。
私もどうしようもない人間ですから反論はできないものの、あまりいい気分がするものでもありません。
自分の機嫌は自分で取るということが大事だと思います。
自分より上に立つ男子のことを女子が内心で見下すということは、家庭でも職場でも、日本ではしばしば見られる現象です。せいぜい溜飲が下がるくらいで、差別の解消には全く役立たない行為ではあるのですが。女子同士の紐帯は、そんなところからも強まったりする
男女平等という観点からいうと、男女に違いはあれど優劣の差はないはず。
男を立てるのも、レディーファーストもどちらが正しいかわからなくなります。
もちろん大前提として歴史の中で女性が低い地位に抑えられてきたのは事実。そして、近年のお互い平等であるという風潮もいいものだと思います。
男性社会日本のゆがみ
考えてみると私がいい思いをしなかったということも“男尊女子”的思考なのかもしれません。私は男なんですが。
女性がこう考えなければいけないほど日本の状況が絶望的なのかも。そう思えば日本のゆがみは男性社会から来ているのかも。
私の職場は女性が多く、上司も女性です。
就職してから女性が多い職場にいることが多かったのでこの環境が自然だと思っていたし、別に不自由も感じていませんでした。
しかしネットには職場の男性女性に関する問題にする話題が多いです。
それだけ職場という環境が女性にとって快適なものではないのでしょう。
産休だって育休だって男で取っている人は聞いたことがありませんし、育児がしたいけど制度が整っていなくて退職している人(女性)もいます。
男女問題はいつも面倒だ?
男は、女から「立ててもらう」ことによって「勃つ」。ガサツに扱われては勃つものも勃たない、男はそれほど弱くて繊細な生き物……
私は独身で家庭があるとまたこの本の感想も変わってくると思います。
結婚していない身でなにを考えても想像でしかありませんが、家事のこと、子どものこと、金銭的なこと、考えることはいくらでもある気がします。
この本のなかにも、結婚した途端態度が変わる人が出てきますが、自分はどうなるのだろうかと考えさせられました。
Mr.Childrenの曲に「男女問題はいつも面倒だ」という曲があります。
たしかにこの問題は楽ではありません。しかし、人間が生涯にわたって取り組んでいかなれけばならない問題でもあります。
私は独身で付き合っている相手のいないので、のほほんとしていますが、ずっとそのスタンスで居続けられるものでもありません。
モテないから〜と言い訳していきましたが、要は恋愛市場から目を背けているだけだったりして。
「男はみんな5歳児である」と思って生きれば、多くの問題は解決する | DRESS [ドレス]
この記事に反発したのも精一杯の強がりなのかもしれません。
「男は5歳児じゃないよ!」と自信を持って言える日本の状況でないことも紛れもない事実。

男がもっと成熟しなければいけないと思うと同時に自分自身の考え方を今一度確認しなければいけないでしょう。
男女平等の考え方が広まってまだ70年。
日本全体がこの考え方をインストールしきれていない、男尊女卑をアンインストールできていない。
この本を読んでいるうちにそういう風に思いました。というか私が努力しなければいけませんね。
私が女性の立っているステージまでいかなければいかないといけないのだと感じました。
着地点を探す稽古
酒井順子さんも性愛の対象は男性だけど、女性同士で過ごすほうが楽、とこの本の中で書かれています。
欧米のようなカップル文化のない日本においてその代わりになるのが女子会なのかもしれません。
私は男性同士の「男子会」的つながりはいまいち苦手なのですが、「女子会」的つながりがあるわけではありません。女性同士は共感し合う時間が大事なんだと思います。
私は女性の友達はいて一緒に食事にいくことはありますが、あくまで友人。
この本を読んで男尊女子という言葉を知り、社会の現状についていろいろ考えながらも私にはパートナーが必要かもしれない、と思いましたね。なんだか本を読んでいるのかどうかわからない感想ですが。
仮にパートナーができたときに、男女平等の考え方をしていたと思っていた自分の中に「男尊女子」的な部分を見つけて愕然とするのかもしれません。
でも、いまの時代に生まれたのですから腹を割って話し合っていきたいと思います。
そういう「ぶつかり稽古」を経ながら、その家庭の最適な着地点を探すのでしょう。
願わくばその環境が相手にとって心地よいものであればと思っています。
まとめ
男性と女性はたしかに違う。
誰もが認識しているこの事実が邪魔をしているのかどうか。
頭ではわかっていながらも、ついつい自分視線で物事を考えていないかと反省しました。
みんな幸せになりたいはずです。どちらか一方が我慢するのではなく、対等な関係で高め合っていくことが最善のはず。
男性でも女性でも人間の半分は違う性なのですから、生きていく上で関わらずにはいるという選択肢はありえません。
お互い対等であるという世界を選んだのですから、同じスタートラインから始めて、いろんなところにぶつかりながら、これからもトライ&エラーをくり返していくしかありません。
女性はもちろん、男性にもおすすめの良書。
ぜひ、読んでみてください。
男女に関して言えば、男女は対等であるという道を選んだ私達は、間違えたり悩んだりしながらも、その道を模索していくしかないのだと思います。
さかもとさんの書評
さかもとみきさんの書評はこちらから。
読んだらモテる?!男と女の見えにくい「メンドクサイ」を可視化する説明書「男尊女子」酒井順子
今回の本は「男と女の本の読み方」というテーマとど真ん中という感じで、さかもとさんの書評を読んでいて本当に面白かったです。
ぜひ、合わせてお楽しみください。