毎月連載しているコラボ書評。
今回のテーマ本は桂枝雀『らくごDE枝雀』です。
毎月連載のコラボ書評
このブログでは、ブログ「坂本、脱藩中。」のさかもとみきさんと毎月コラボしている書評を書いています。
前回のコラボ書評は江戸川乱歩著『孤島の鬼』でした。
コラボ書評とは2人のブロガーが同じ本を読み、感想をお互いに書くという内容です。
ぼくはさかもとさんにいろいろ相談をしたり、Twitterで交流をしていました。話の流れで「コラボしたいね」という流れになり、お互いに本好きということもあり書評を書きあうというスタイルになりました。
面白いのは同じ本を読み合っていても、人によってこうも感想が違うのかという点がわかる点です。
特にこのコラボ書評は、男女で本の捉え方が違う点も面白い点だと思います。
- 過去のコラボ書評はこちらから。
毎月連載のコラボ書評まとめ【つぶあんとさかもとみきさんの書評】 | つぶログ

今回の本は「らくごDE枝雀」

今回は落語家、桂枝雀さんの本『らくごDE枝雀』です。
構成としては枝雀さんの落語の書き起こしのあと、その話にまつわる考え方、背景などを枝雀さん、落語作家小佐田定雄氏との対談で収録しているというもの。
この本で有名なのは落語のオチを分類した「サゲの四部類」でしょう。
かつて上岡龍太郎さんもこの分析に感銘を受け、テレビで取り上げたことがあったとか。
1999年になくなられていますが、いまでも人気の落語家さんですし、松本人志さんや千原ジュニアさんも好きだと公言しています。
この本を読んで感じたこと
まずこの本を読んで感じたのは上方落語の新鮮さ。
というのもぼくは少しだけ落語を聴きますが、東京の落語しか聞いたことがなかったんですね。
三遊亭志ん朝とか三遊亭志ん生、立川談志とか。
この本では5編収録されている紙上落語の部分はもちろん関西弁で書いてあるのでふだん聴いている落語とは感覚が違ってそこがまず新鮮でした。
この本で語られている「サゲの四分類」とは、
- ドンデン(ドンデン返しのこと)
- 謎解き
- へん(変なことがおきて話が落ちる)
- 合わせ(人為的に合わせるオチ)
です。
この間ビートたけしの『やっばり志ん生だな』という落語の本について読みました。
ビートたけしさんは現代の笑いの草創期から劇場の舞台に立ち演芸の最前線をずっと見ていただけにその考察がすごいんですね。
この本の分析もそれと通じるものがある気がします。テレビなどで見る漫才でも天才と呼ばれる芸人さんがいます。
まったく予想していなかった話を展開させたり、感性だったり、そういう部分が天才たる所以だと思いますが、落語だけでなくふだん見ているお笑いもこの本の分類で分析できるのではないかと思います。
たとえば繰り返し説明されている「緊張と緩和」などはいい例だと思います。
「緊張と緩和」がすべての根本なんですわ。はじめグーッと息を詰めてパーッとはき出す。グーッが「緊張」でパーッが緩和です。
天才って人が感覚的にわかっているはいるけど言葉にできないことを「言語化」するのがうまいんですよね。
でも、この本を読み出して枝雀師匠の落語を見てみましたが、こんな分析を感じさせずただ面白い。
繰り返し稽古をして、詳細に分析する。しかしそれはおくびにも出さない。これがプロの芸人なんですね。
枝雀師匠は襲名前の桂小米時代は古典落語をしっかりと演じるタイプでしたが、枝雀襲名後はアクションも交えたスタイルに変化したとのこと。
そういう部分もふくめて落語家の「考え方」が分かる本です。
まとめ
やっぱりすごい人というのはどの分野の人でもでも物事を論理的に分析できるし、説明できる。
読んでみてそんなことを考えた1冊でした。上岡龍太郎さんの解説も愛があって素敵ですね。
個人的に落語編で気に入ったのは「鷺とり」でしたね!
おすすめ!
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さかもとみきさんの書評
今回のチョイスは意外でした!さかもとさんがどんな風に読んだのでしょうか。