ピースなバイブスでポジティブな感じで『静かに、ねぇ、静かに』【コラボ書評】

静かに、ねぇ、静かに SNS 書評

今回のコラボ書評は本谷有希子さんの『静かに、ねぇ、静かに』がテーマです。

毎月連載のコラボ書評

このブログでは、ブログ「坂本、脱藩中。」のさかもとみきさんと毎月コラボしている書評を書いています。

前回のコラボ書評は絲山秋子さんの『』です。

コラボ書評とは2人のブロガーが同じ本を読み、感想をお互いに書くという内容です。

ぼくはさかもとさんにいろいろ相談をしたり、Twitterで交流をしていました。話の流れで「コラボしたいね」という流れになり、お互いに本好きということもあり書評を書きあうというスタイルになりました。

面白いのは同じ本を読み合っていても、人によってこうも感想が違うのかという点がわかる点です。

特にこのコラボ書評は、男女で本の捉え方が違う点も面白い点だと思います。

  • 過去のコラボ書評はこちらから。

毎月連載のコラボ書評まとめ【つぶあんとさかもとみきさんの書評】 | つぶログ

コラボ書評

毎月連載さかもとみきさんとのコラボ書評!

今回のコラボ本は本谷有希子『静かに、ねぇ、静かに』

静かに、ねぇ、静かに SNS

今回の本のセレクトはさかもとさんです。

本は本谷有希子さんの『静かに、ねぇ、静かに』です。

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『静かに、ねぇ、静かに』のあらすじ

芥川賞受賞から2年、本谷有希子が描くSNS狂騒曲!海外旅行でインスタにアップする写真で”本当”を実感する僕たち、ネットショッピング依存症から抜け出せず夫に携帯を取り上げられた妻、自分たちだけの”印”を世間に見せるために動画撮影をする夫婦――。
SNSに頼り、翻弄され、救われる私たちの空騒ぎ。
引用:『静かに、ねぇ、静かに』(本谷 有希子)|講談社BOOK倶楽部

『静かに、ねぇ、静かに』(本谷 有希子)|講談社BOOK倶楽部

本書は3つの短編から構成されています。

  • 本当の旅
  • 奥さん、犬は大丈夫だよね?
  • でぶのハッピーバースデー

芥川賞作家本谷有希子さんの新刊です。

読んで感じたこと

本作はSNSをテーマにした短編集で、タイトルの頭文字を取ると『静かに(S)、ねぇ(N)、静かに(S)』はSNSという意味になります。

SNSによって人間の可能性は広がった反面、デメリットも生じています。

ぼくはSNS前後で人間は本質的には変わっていないと思っています。

それこそ何百年も前から。

ただSNSによって人間の承認欲求が可視化されたことが問題になっているのではないかと思います。

「奥さん、犬は大丈夫だよね?」はネットの買い物依存症の話です。

ネットやSNSの発達でいいものも悪いものもよく見えるようになってしまったんですよね。

芸能人の人がSNSでの批判に対して異議を申したり、ファンとやり合いをしたりすることがありますが、ネットがない時代にもきっと文句を言っていた人はいたんですよね。

「あいつはもう終わった」とか「つまらない」とか。

いまの時代はそれが本人が目にする可能性がある場所まで届いてしまうので、すごく距離感がいびつになっているんだと思います。

「本当の旅」

3つの短編のうち、一番良かったのは最初の作品である「本当の旅」。

「本当の旅行」は男女3人がマレーシアのクアラルンプールに旅行に行く話。

この登場人物たちは自分とその仲間だけが世界のすべてで、それだけで関係しています。

そして、世界とつながる唯一の手段がSNSです。

年齢が自分と近いこともあり、周りから見たら自分もこうなのでは、こういう風に考えているのでは、と置き換えてしまいました。

本当に怖い。

日本では「ポジティブ」文化があるというか、「精神論」的文化だと思うので、誰でも少なからずこういう面があるのかもしれません。

「意識高い系」とは違う感じで、現実の生活で満足感が得られていなかったら、SNSだけが自分を表現できる場ということになるのかも、というかなりつつあるのかもしれません。

まとめ

この本は面白く読んでいると、ふと「書いてあるのは自分なのでは」と怖くなるような読後感になります。

文体もあえて軽く書かれていてサクッと読めるんですが、読み終わってすこし時間が経ってから少し怖くなるという感じです。

ぼくもずっとTwitterをやったり、ブログを書いたりしているので、他人事ではない感じで読みましたね。

さかもとみきさんの書評

さかもとさんの好みの感じでしたね!どんな感じで読まれたのでしょうか。

今回紹介した『静かに、ねぇ、静かに』

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