子どもが欲しいということ:川上未映子『夏物語』

mieko kawakami 書評

毎月連載のコラボ書評。

今回のテーマ本は川上未映子さんの最新作『夏物語』です。

毎月連載のコラボ書評

このブログでは、ブログ「坂本、脱藩中。」のさかもとみきさんと毎月コラボしている書評を書いています。

前回のコラボ書評は瀬尾まいこさんの『そして、バトンは渡された』でした。

コラボ書評とは2人のブロガーが同じ本を読み、感想をお互いに書くという内容です。

ぼくはさかもとさんにいろいろ相談をしたり、Twitterで交流をしていました。話の流れで「コラボしたいね」という流れになり、お互いに本好きということもあり書評を書きあうというスタイルになりました。

面白いのは同じ本を読み合っていても、人によってこうも感想が違うのかという点がわかる点です。

特にこのコラボ書評は、男女で本の捉え方が違う点も面白い点だと思います。

  • 過去のコラボ書評はこちらから。

毎月連載のコラボ書評まとめ【つぶあんとさかもとみきさんの書評】 | つぶログ

コラボ書評
毎月連載さかもとみきさんとのコラボ書評!

今回のコラボ本は川上未映子『夏物語』

今回のテーマ本は川上未映子さんの『夏物語』です。

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今回はぼくが本を選びました。

川上未映子さんはずっと気になる作家さんで、テーマも面白そうなので選んでみました。

『夏物語』のあらすじ

パートナーなしの妊娠、出産を目指す夏子のまえに現れた、

精子提供で生まれ「父の顔」を知らない逢沢潤――

生命の意味をめぐる真摯な問いを、切ない詩情と

泣き笑いに満ちた極上の筆致で描く、21世紀の世界文学!

世界十数ヵ国で翻訳決定!

『夏物語』川上未映子 | 単行本 – 文藝春秋BOOKS

読むまで知りませんでしたが、この作品には、川上さんの芥川賞受賞作『乳と卵』の登場人物たちが登場しています。

この作品単独でも楽しんで読むことができると思います。

読んで感じたこと

関西弁が心地いい。

読み終わったあと、最初に感じたのは物語の展開とはまた違った感想でした。

小説で全編にわたり、関西弁で展開される小説というものがどうにも苦手なんです。

自分が関西出身で違和感を感じる、ということでもないんですが、どうにもこそばゆい感じがしてしまうんですよね。

その点、この本はスムーズというか、スッと頭に入ってきて、余計な“ひっかかり”がないんですよね。

あとは、しゃべるみたいに書いてある小説だと思いましたね。

「いっしゅん」とか「けっきょく」とか感じではなく、ひらがなで書いてあるのが面白いなと感じました。

物語の展開

この物語は夏子、その姉巻子、緑子が東京にやってくるところから物語は始まります。

この本のテーマは、人間の業みたいなものなのかな、というのはちょっとあるかもしれないと考えます。

人生は続いていく、そこには悲劇も喜劇も、どちらかよくわからないような感情や出来事もある。川上さんはそんなことを書きたかったのかな、と考えたりしました。

その根底にあるのは、みんなやっぱりいろいろ考えながら生きているんだよな、という当たり前の事実です。

ぼくのタイムラインだけかもしれないですが、最近結婚、出産、育児などについてのシェアを多く目にします。

川上未映子さんが書きたかった作品のテーマとは、ちょっと違うかもしれません。

メインのテーマとしては、出版社によるあらすじにもあるように「精子提供」による出産です。

人間として、内面的な部分は別に、「生物的な仕組み」としての人間があるわけです。

そして、脈々と人類が生きていくという営みを続けてきた結果、我々がいまの時代に生きているという事実は確実に存在します。

これってつまり、人類が「営み」にいかに折り合いをつけてきたか、という歴史でもあるわけです。

この本を読んで一番感じたのは、自分の生きる価値ってなんだろうということです。

男性作家が同じテーマで作品を書くとまた違った読み味のものができあがるような気がします。

まとめ

泣けて、笑えて、かつシリアスで。だけどやさしい物語でした。

月並みな感想ですが、人それぞれ正解の異なる作品なんだと思います。また感想も違ってくるのではないでしょうか。

文学ってこういう同時代の一面を切り取ったジャーナリズム的な面白さもありますね。

さかもとさんの書評

さかもとさんはこの本をどう読んだのでしょう。

今回紹介した『夏物語』

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