【コラボ書評】孤独と向き合うということ:町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』

whale machida sonoko 書評

毎月連載のコラボ書評。

今回のテーマ本は町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』です。

毎月連載のコラボ書評

このブログでは、ブログ「坂本、脱藩中。」のさかもとみきさんと毎月コラボしている書評を書いています。

前回のコラボ書評はアルベール・カミュの『ペスト』でした。

コラボ書評とは2人のブロガーが同じ本を読み、感想をお互いに書くという内容です。

ぼくはさかもとさんにいろいろ相談をしたり、Twitterで交流をしていました。話の流れで「コラボしたいね」という流れになり、お互いに本好きということもあり書評を書きあうというスタイルになりました。

面白いのは同じ本を読み合っていても、人によってこうも感想が違うのかという点がわかる点です。

特にこのコラボ書評は、男女で本の捉え方が違う点も面白い点だと思います。

  • 過去のコラボ書評はこちらから。

毎月連載のコラボ書評まとめ【つぶあんとさかもとみきさんの書評】 |

コラボ書評
毎月連載さかもとみきさんとのコラボ書評!

今回のコラボ本は町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』

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今回のテーマ本は町田そのこさんの『52ヘルツのクジラたち』です。

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今回はぼくが本を選びました。

『52ヘルツのクジラたち』のあらすじ

『52ヘルツのクジラたち』のあらすじはこちらです。

52ヘルツのクジラとは―他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で一頭だけのクジラ。たくさんの仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。そのため、世界で一番孤独だと言われている。自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会い、新たな魂の物語が生まれる―。

52ヘルツのクジラたち|単行本|中央公論新社

この本を読んで感じたこと

「孤独」「虐待」がテーマになっていますが、これまでぼくが読んだことがあった作品とは違う印象を読んだ後に感じましたね。

構成としては、一つのテーマを軸にしながらいくつもの要素が重なっていくようになっています。

ミステリーとは違うのですが、物語が進むにつれて少しずつ登場人物たちの過去や現在に至る流れが明らかになっていきます。

読み終わってから、もう一度読み返すとこういう伏線になっていたのかとより面白くなるかも。

親子関係、家族というのも裏テーマになっています。

物語は突然祖母のいた家に戻ってきた貴瑚と、貴瑚が帰ってきた地元で虐待を受け“ムシ”と呼ばれた愛(いとし)が中心に展開していきます。

自分が貴瑚た愛と同じような経験をしたことがあるわけではないです。

でも、自分も一つ間違えば加害側に回る怖さを感じました。

将来もし子どもができた時に、自分は虐待をしないと信じたいのですが…。

52ヘルツのクジラについて

タイトルにもなっている52ヘルツのクジラ。気になったので調べてみました。

Wikipediaにもページがあります。この作品を読んでみるまではまったく知りませんでした。

シロナガスクジラやナガスクジラと比べて、52ヘルツははるかに高い周波数である。この鯨はおそらくこの周波数で鳴く世界で唯一の個体であり、その鳴き声は1980年代からさまざまな場所で定期的に検出されてきた。「世界でもっとも孤独な鯨」とされる。

52ヘルツの鯨 – Wikipedia

ここでの解説によると、52ヘルツで鳴くクジラは世界で一匹だけですが、本作のタイトルは『52ヘルツのクジラたち』となっています。

登場人物たちは、52ヘルツで鳴くクジラと同じくらい孤独なんだということを示唆しているのかもしれません。

52ヘルツで鳴くクジラに比べたら、人間ははるかに周囲の人とのかかわりを持って生きています。

それでも、「孤独」がキーワードになっているのは、海の中でたった1匹で泣き続けるクジラのように、1人1人の人間(登場人物たち)が孤独なのかもしれないです。

まとめ

やっぱり表に見えている世界と、中の世界はまったく一致するものではなくて、

自分の好きなように世界を回していくことは難しい。

それを特にラスト付近に進むにつれて強く感じました。

虐待が一つのテーマになっていますが、物語の展開が面白く本を読む楽しさを感じることができる作品だと思います。

ぜひ、読んでみてください。

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さかもとさんの書評

さかもとさんはこの本をどう読んだのでしょう。

今回紹介した町田そのこ『52ヘルツのクジラたち』

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