毎月連載のコラボ書評。
今回のテーマ本はチャールズ・ブコウスキーの『勝手に生きろ!』です。
毎月連載のコラボ書評
このブログでは、ブログ「坂本、脱藩中。」のさかもとみきさんと毎月コラボしている書評を書いています。
前回のコラボ書評は村上春樹さんの『一人称単数』でした。
コラボ書評とは2人のブロガーが同じ本を読み、感想をお互いに書くという内容です。
ぼくはさかもとさんにいろいろ相談をしたり、Twitterで交流をしていました。話の流れで「コラボしたいね」という流れになり、お互いに本好きということもあり書評を書きあうというスタイルになりました。
面白いのは同じ本を読み合っていても、人によってこうも感想が違うのかという点がわかる点です。
特にこのコラボ書評は、男女で本の捉え方が違う点も面白い点だと思います。
- 過去のコラボ書評はこちらから。
毎月連載のコラボ書評まとめ【つぶあんとさかもとみきさんの書評】 |

今回のコラボ本はチャールズ・ブコウスキー『勝手に生きろ!』

今回のテーマ本はアメリカの作家、チャールズ・ブコウスキーの『勝手に生きろ!』です。
勝手に生きろ! :チャールズ・ブコウスキー,都甲 幸治|河出書房新社
今回はぼく、つぶあんが本を選びました。
『勝手に生きろ!』のあらすじ
こちらが『勝手に生きろ!』のあらすじです。
一九四〇年代アメリカ。チナスキーは様々な職を転転としながら全米を放浪する。いつも初めはまじめに働こうとするが、過酷な労働と、嘘で塗り固められた社会に嫌気がさし、クビになったり自ら辞めたりの繰り返し。そんなつらい日常の中で唯一の救いは「書くこと」だった。投稿しては送り返される原稿を彼は毎日毎日書きつづける。嘘と戦うための二つの武器、ユーモアと酒で日々を乗り切りながら。ブコウスキー二〇代を綴った傑作。映画『酔いどれ詩人になるまえに』原作。
チャールズ・ブコウスキーの名前は聞いたことがあったんですが、読むのは今回が初めてです。
Wikiを読んでみるとなかなかすごい経歴。
この本を読んで感じたこと
先ほども書いたようにチャールズ・ブコウスキーを読むのは今回が初めて。
でも、この本は楽しんで読むことができました。
その理由として考えられるのは、本作が映画的な雰囲気を持っているからかもしれません。
ニューヨークからロサンゼルスまでうろちょろしているのである意味ロードムービー的雰囲気もあります。
日本映画だとこのテーマを扱うと湿っぽい感じになることもあります。
『勝手に生きろ!』はカラッとしているわけではないけれど感傷的でもない。
余計な情報は入れず、淡々と描写している感じでしょうか。
要するに、おれは人生にうんざりしていた。ただ食べたり、寝たり、服を買うためにしなくちゃならないことそのものにだ。だからそれは、ベッドの中で飲んでいた。飲んだところで世界がなくなるわけじゃない。でも、世界のほうもこっちの首を絞めたりはしない。
実は救いのある物語?
主人公のチナスキーは酒浸りになり仕事もすぐ辞めてしまうかクビになりアメリカ各地を転々とします。
あらすじにあるようにこの物語、作者のブコウスキーの体験をもとにしています。
どこの街でも酒を飲んで仕事を探して、セックスをしてクビになるの繰り返し。
でもこういうどうしようもなさが高尚な文学には書けない人生の味を描き出しているように思えてなりません。
ある意味で救いのない物語であるこの本は現実がしんどいと思っている人にとって救いとなるのかも。
こういうテイストってまさにアメリカの文学や映画って感じだな、と読んでいて感じますね。
アメリカ映画を見ているとチナスキーみたいにすぐ仕事をやめたりとか酒浸りになっている人ってよく出てきます。
アメリカでチャールズ・ブコウスキーの著書は100冊以上出版されているとか。
それも納得。
スーパーヒーローじゃなくてもきっと気持ちを楽にしてくれる存在っているんですよね。
おれには孤独が必要だった。他のやつに食べ物や水が必要なように。一人になれないと、おれは日ごとに弱っていく。別に孤独を自慢しているわけじゃない。孤独に頼っているだけだ。部屋の暗闇はおれにはとって陽の光だった。
まとめ
決して明るくはないけど、その分ダウナーな魅力にハマってしまうといつまででも読めてしまう。そんな本ですね。
ぜひ、読んでみてください。
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さかもとさんの書評
さかもとさんはこの本をどう読んだのでしょう。
ぜひ読んでみてください。
夢が叶わない人の人生「勝手に生きろ!」チャールズ・ブコウスキー | 坂本、脱藩中。