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規格外の男、シン・カツシンタロウ『俺、勝新太郎』を読んで

シン・カツシンタロウ

毎月連載しているコラボ書評シリーズです。今回は勝新太郎著『俺、勝新太郎』を取り上げます。

オトコのホンノ読ミ方

月イチで連載しているコラボ書評シリーズ、オトコとオンナのホンノ読ミ方。

ブログ「坂本、脱藩中」のさかもとみきさんと同じ本を読みあって書評を書き合っています。

今回取り上げる本は勝新太郎著『俺、勝新太郎』です。

とんでもなく面白いこの本、なんと勝新太郎自身の筆によるものです。

語るように書き、歌うように自分の生涯と思いを語るこの本。

勝新太郎という俳優について名前は聞いたことがあるという若い方もいるでしょう。

でも作品は見たことがない、生涯については知らないという人もいるのでは。

この本はそんな人にとっては、勝新を知る最高の入門書であり、最近では少ない無頼派の俳優の生涯を知ることができるでしょう。

過去の書評

さかもとさんとの書評
ブログ「坂本、脱藩中。」のさかもとみきさんとコラボで書評を書きます。第一弾は西原理恵子さんの著作を取り上げます。...
さかもとさんとの書評
月一回連載しているコラボ書評シリーズです。今回はヒキタクニオさんの「人殺しパラダイス」を取り上げます。...

勝新太郎を書いてまとまるなんて、おかしいよ

山城新伍が勝新太郎、若山富三郎の兄弟のことを書いた『おこりんぼ さびしんぼ』という本を知っているだろうか。

名優山城新伍はこう言った。

「この二人の影響以外、誰の影響も受けていない」

この二人の兄弟は誰かに影響を与えることができた最後の存在かもしれないと言っていた。

山城新伍にそこまで言わせた男の人生ってどんなもんだか知りたくないかい?

そんな時は『俺、勝新太郎』を読むんだよ。そんな気分にさせてくれる本である。

勝新を語るときキーワードになるのが「色気」だ。

イケメンななどと呼ばれる俳優が多いなか、勝新は「色気」を漂わせる最後の俳優かもしれない。

勝新は完璧な、現代でいうイケメンではない。

でも魅力的だ。それもとんでもなく。

勝新、語る

読んでいて驚いた。ここまで開けっぴろげな自伝はあっただろうか。

本書の印象はボブディランの自伝を思わせる。なんだか構成が似ている気がするのだ。

誕生と再生の物語。

(勝新太郎は構成なんて微塵も考えなかっただろうけど。ちなみに時代的にはボブディラン自伝の方があとなのでボブディランが『俺、勝新太郎』をパクった可能性がある)

いい男ってのは自分の語りたいように話すもんなんだな〜と感じた。だから魅力的なんだ。

これは音書きだって勝新太郎自身も言っていますよ。祭り囃子を聞いていて書き始めたらしい。

それでなんだか音楽的な文章なんだ。自分自身を懸命に語っている文体なんだ。

この本のなかには魅力的な人しか出てこない。それが勝新太郎の映し鏡になっているからだろう。

シン・カツシンタロウ咆哮す

芝居のしかた、泣き方、笑い方を、演技者でない俳優じゃない人たちから学んだ。

勝新太郎は人から学ぶ人だったと思います。

演技で泣くときも最初はお母さんが亡くなったと想像して泣いていたそう。

台本を読んで覚えたせりふを言う 「勝新太郎」なんか、誰も面白がらないだろう。

みんな、俺の遊びを見たいのだろう。

そうだ、みんなが勝新太郎に夢中なのは遊んでいるからだ。

みんなが真面目にやってるなか、ひとり笑いながら遊んでいるから、輝いているんだ。

夜遊びをする芸能人はいるけれど、勝新みたいに人生丸ごと遊んでいる人はいない。

たぶん普通の人が勝新みたいになろうとしてどんちゃん騒ぎをしても見苦しい。

三味線、長唄、芸事をなんでもこなし、そして映画俳優。

なんだか遊びの素養が違うんだろうなと感じた。それでいて寂しがり屋。

寂しさを見せる男は魅力的だと相場が決まっている。

「中村玉緒は勝新太郎がいなくても存在するが、中村玉緒なしの勝新太郎は存在しない」

こういう発言を聞いたことがある。

映画『悪名』ちょこんと座って嫁にしてもらいます!といっていた中村玉緒もまた大物だった。

世の中が俺を信じていない。

勝新太郎はそう言う。

賭けごとで、一千万円負けていて楽しさ(と怖さ)って書けるなんて勝新はなんて大物なんだろうと思った。それも規格外に、

人間としての器が大きいのだろう。

男をはみ出した男というのはこういう人のことをいうのだろう。

あとがき(カツシンタロウの代わりはいない)

空港で逮捕された勝新太郎に対して妻の中村玉緒のかけた言葉が胸を突く。

「大物ですな」

この言葉に返す言葉は見つからない。なにしろ『お金苦労日本オリンピック』金メダル間違いなしってくらい苦労をかけたからな。

男って弱いんだな〜。でも男に生まれてよかったんじゃないか。この本を読んだ男はきっとそう思うはずだ。

勝新に夢中になるのに理由なんて必要ない。

シン・ゴジラを見た後のような読後感を味わえる自伝だ。咆哮する男がそこにはいる。

この本を読んだり、この書評を少しでも気になったら勝新太郎の映画をぜひ、見て欲しい。

その作品は必ずあなたの生涯を変える力を持っていることだろう。

個人的には『悪名』を見て欲しい。

とんでもなく魅力的な男がそこにいる。

勝新は最高だ。それ以外に言葉なんて必要ないだろう?

さかもとさんの書評

あのパンツの人は哲学者でありリリシストであり役者狂いの超いい漢だった「俺、勝新太郎」 | 坂本、脱藩中。

今回紹介した本

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